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World Life Paris
 
Vol.15 アフィッシャージュとモビリエアーバン

広告塔
●屋外広告(アフィッシャージュ)の発達した国フランス
初めてパリを訪れたとき、その街並に感動するというのは誰もが実感することだと思います。

わたしの場合それは広告コピーライターとしてかけだしの23歳の時でした。街並もさることながら街並のなかにピッタリと溶け込むデザイン性の高い円柱広告塔や、未来的なデザインのガラス張り広告塔に感心したものです。

現在、この街に暮らすようになってからもその思いは同じですが、ただ、本当に街中に広告スペースが多いことには改めて驚かされます。

気になって調べてみると量ではなく質という意味で、やはりフランスは世界で一番屋外広告が発達した国でした。

バスにも広告
街頭のバス停、円柱広告塔、キオスクの広告版、工事中のビルを利用したカバー広告、商店街のショーウインドウやドアの広告スペース、バス、メトロプラットフォームや構内の壁、スーパーのカート広告、カフェのテーブルなどなど。さまざまな新しい手法の屋外広告が開発され続けています。

さてフランスでとくに発達しているのはメトロのプラットフォームの壁やバスの後部に見られるいわゆる貼り付け型の単純な“広告”とは別に、実はモビリエ アーバンとよばれる広告です。

モビリエアーバン
●モビリエ アーバンの歴史
モビリエ アーバンとはもともと「道路などの公共の空間に置かれたベンチ・ゴミ箱・プランター・標識など」の都市環境施設のことなのですが、今から40年ほどまえにフランスのJCドコーという屋外広告会社が広告スペースのある屋根付きバス停を地方公共団体に提案して建築を承認されたのが“広告界における”モビリエ アーバンの第1号でした。

それまでは木造の簡素なつくりだったバス停に代わって、エッフェル塔を思わせるようなマホガニー色の鉄骨の骨組みにガラス張りの屋根と壁を付け、側面の片側に1m×2mほどの広告をガラスで挟みこめる、という造りにしたのです。

ガラスで挟んであるために広告が非常に洗練されて見え、夜にはライトアップされてさらにインパクトが加わります。この屋根つきバス停の業績が認められ、以来この会社は広告スペースのあるなしに関わらずさまざまな新型モビリエ アーバンを世に送り込み、それらが徐々にフランス全土を席捲し、フランスの街の風景に溶け込んでゆくことになります。


モビリエアーバン
広告スペースがないモビリエ アーバンでいえば、街の中で方向を示す道路標識やオーバル型の近未来的デザインの公共トイレ、街頭のごみ箱、道路脇に並ぶライトなどがその例です。

広告スペースを持つものではパリらしい風景の中に必ず登場する円柱広告塔やキオスクの建物、ガラス張り広告塔、旅行者にはとくにありがたい街の中の大型の地図などは特によく目にするモビリエ アーバンです。

JCドコーはこれらモビリエ アーバンがクラシックなフランスの街並にしっくりと溶け込み、しかもモダンな雰囲気を併せ持つようにそのデザイン性には特に気をつかっており、広告塔はいうに及ばず、トイレ、ゴミ箱などにいたるまで、フィリップ・スタルク、マルチン・ゼケリー、ミシェル・ウィルモットといった世界で一流のデザイナー達と常に提携して仕事を進めているそうです。そういう目で見てみると、なるほど行き届いたデザイン性に見惚れてしまうものもあります。

円柱広告塔
●屋外広告、今年の成功例
モビリエ アーバン広告は目の高さにある広告が多いので、特に街中を情報収集しつつ歩く傾向のある女性向け、若者向けの広告が多いのが一般的傾向のようです。

映画の封切り情報はバス停広告の常連ですし、女性向けの量販型トレンディショップ、H&Mやモーガン、クーカイ、マンゴーなどは季節ごとにニューコレクションを値段付きで広告しています。

もちろん化粧品メーカーもこれを見逃すはずはなく。最近の成功例では量販店系のメイクアップのトップブランド、メイべリンが新製品のジェル型リップクリームをバス、バス停に集中的に広告し、売上を伸ばしたという記事がありました。

また、別の記事では夏に集中的にファーマシー(薬屋のショーウインドウ)広告とバス停広告で新しいスリミングクリームを宣伝したROCの関係者も屋外広告の即効性の効果を認めていました。私もこのふたつの広告は実によく目にしており、街を歩いているだけでアタマに入り込んでくる屋外広告の威力を感じます。

メトロの広告
●消費者団体の動き
ところが、デザイン性に優れたモビリエ アーバン広告ばかりが屋外広告ではありません。普通のやたら大きいだけの広告看板も多々あります。

広告の種類に関しても子供達には見せたくないような品性に欠けたものがあるのも事実です。また、上に書きましたようにいやでも見えてくる広告なので、中にいいものがあったとしても、その量の多さだけで嫌悪感を感じる人たちがいてもおかしくはありません。

昨年くらいから、急に激しくなった消費者団体の屋外広告に対する反対運動はこのような意識の表面化であり、 “メトロプラットフォームの大型広告に反対声明を書き込みましょう”というインターネットでの呼びかけに対応して実行動が激しくなった時期がありました。

それでもやはりそのような妨害を乗り越えるべくさまざまな新手法をあみだしながら屋外広告はこれからもフランスで発達してゆくことと思います。

世界で最も屋外広告のバリエーションの多いといわれるパリで、このコラムを書くために、一日屋外広告ウオッチングをして過ごすのも結構新鮮でしかも情報収集がたっぷりでき、満足度の高いお散歩でした。

text/photo by T.A.

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World Life
October. 2004 


アルブイ共未
あるぶいともみ
アルブイ共未さん
早稲田大学卒業後、広告代理店にてコピーライター、マーケティングの仕事を8年間勤める。その後フランスダノン社の日本支社に転職。
VOLVICミネラルウォーターのブランドマネージャーとして勤務している時、仕事を通じて現在の主人(フランス人)とフランスはEVIANにて知り合い、3ヶ月後に婚約。97年5月に結婚のために渡仏し12月に長男出産。
現在パリ6区在住で在仏6年、イベント企画のフリーランスとして活動中。

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