C:起業までのことについて、教えてくださいますか。
私は、長年専業主婦でした。子育てと地域の活動はしていましたが、職歴といえるのは、短大卒業後に中学校の家庭科教師を1年間務めたことくらいです。余談ですが、この時に、夏休みの課題として取り組んだ既成概念にとらわれない「工夫パジャマ」が、20年後に別の形で役立つことになろうとは思ってもいませんでした。
長い専業主婦生活の後に、仕事を始めることになったのには事情がありました。夫が、長年勤めた電鉄会社を辞めて、独立起業したいと言い出したのです。周囲は反対しましたが、私は強く反対しなかったため、結果的に夫の会社を手伝うことになってしまいました。最初の頃は、パソコンなどは勿論使えないですし、ビジネスマナーも分からない、電話応対すら頼りないような状態でした(笑)。
そうこうしながら、徐々に仕事にも慣れ、パソコンも地元の無料教室(シニア向けの…)に通い、経理も出来るようになった頃のことでした。義母が煩っていた癌が再発したのです。私は、義母のことが大好きで、実の母娘のように仲良くしていたのでショックも大きかったです。治療についてはドクターにお任せするしかなかったのですが、私に出来るのは、精神的に義母を元気付けてあげることだと考えました。いつもお洒落を楽しんでいた母の髪に、抗がん剤の影響が見えはじめたとき、お気に入りのスカーフを使って、義母の枕元で帽子を縫ったりしていました。これが、後のakko「バンダナ帽」の原型になります。
そんな中、友人の医療現場を研究するNPO代表者から、ある依頼が舞い込みました。簡単に言うと、医療の現場から病院を良くしようという目的で、入院患者の衣食住について詳細で膨大な量のアンケート調査を実施の上で研究発表された結果から、衣の部分を取り出して、実際に患者用パジャマ一式の試作品を作製して欲しいというものでした。最初は、固辞していましたが、義母の看病を経験しておりましたし、アンケート調査の結果をどうしても形にしたいと思い、共働で『快適な病院パジャマ』と題した患者用衣類一式の試作品を国際モダンホスピタルショウ2003にて発表しました。お陰さまで、入院患者のための配慮あるパジャマに楽しさとお洒落を持ち込んだことで話題になりました。さらに、展示会場に秋篠宮紀子さまが来られたことで各種メディアにも報道され、電話での問い合わせが殺到しました。『快適な病院パジャマ』が欲しいという多くの声によって、展示品を作れば終わりだと思っていた私は、実はこれがプロローグだったのだと知らされました。
覚悟を決めた私は、『バンダナ帽』の商品化をスタートさせました。多くの方々の協力を得て、試行錯誤を繰り返し、ついには一途な思いが結実します。そして、(財)大阪産業振興機構の厳しい審査を経て、〈テイクオフ大阪21〉の認定事業に合格し、2005年7月には有限会社アクティアを設立するに至りました。
C:紆余曲折を経て商品化された『バンダナ帽』は、昨年、サライ大賞の部門賞にも選ばれましたね。
はい。「サライ大賞」の年齢に優しい部門賞を受賞しました。
『バンダナ帽』は、「万能帽子」です。アクティブシニアの方にもぴったりということで、サライに紹介されました。他にも、入院される方だけでなく、スポーツを楽しむ方や、バイクに乗られる方にはヘルメットの中に被られたり、また、かつら休めに利用されたり、お坊さんにも愛用してくださっている方がいらっしゃいます。
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C:そして、先日、ビジネス界のオスカーとも称されるザ・スティービー・アワードにおいて「アジア女性起業家」部門最優秀賞を受賞されましたね(http://www.stevieawards.com/pubs/women/awards/414_2252_19418.cfm)。これは、大変な栄誉だと思うのですが、ニューヨークでの授賞式に参加されていかがでしたか?
まさか、受賞するとは思ってもみませんでした。自分でも驚いています。受賞理由は、私が一途に歩んできた商品開発の道のりに審査員の先生方が共感してくださったからだと思います。今回、めでたく受賞できましたのも、あたたかく支えてくださった方々や、応援し続けてくださった皆さま方のおかげと感謝しています。
C:授賞式の様子は、松村さんの英語でのスピーチも含めて、アクティアのHPにて公開されていますので(http://www.actia.jp/information.html)、皆さまぜひご覧ください。
ところで、最近の休日は、どのようにお過ごしですか。
ONとOFFはきちんと分けないといけない、とは思っているのですが、休日でも仕事のことを考えてしまいます。アイデアが浮かぶと書き留めておこうとなりますし、月曜日まで待てなくなってしまうのです。
あえて言うなら、スポーツジムに通いだしました。とても良い気分転換になりますし、体力作りに励もうかと思っています(笑)。
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C:他にも、松村さんの支えとなっていることがありましたら、お聞かせください。
顧客からの、ファンレターです。バンダナ帽の代金を振り込んでくださる振込用紙に、びっしりとメッセージを書き添えて下さるのです。『ありがとう』と感謝の気持ちを伝えてくださるメッセージがたくさん届き、いつも励まされています。ハートのこもった商品を世に送り出しているという思いが裏付けられているようで、その手ごたえが私の原動力になっています。
C:事業を始めてからと、専業主婦時代とでは、何が一番変化しましたか。
専業主婦の時には、人生のほんの一面しか見えていなかったように思います。社会に出て、たくましくなって(笑)、いろんなものが見られて、また、経験することが出来て、面白いです。何よりも、人との出会いが一番楽しいですね。
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C:まだ伺いたいことがたくさんありますが、あっという間に約束の時間が来てしまいました。本日は、本当にありがとうござました。
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