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恋も仕事も命がけ
C:99年に、オフィスビルの8Fで、1粒のダイヤモンドからジュエリーサロンをオープンされるまでの経緯について、お聞かせいただけますか。
ロングタイムで社会生活を送っていきたいと考えていました。しかし、20代後半に管理職として勤めていた会社は、女性が結婚・出産を経て子育てをしながら長期的に働くことを望んでいないと気がつきました。そこで、2つの選択肢が考えられました。女性が長く働ける会社を探すか、自分で起業するかのどちらかです。29歳だった私には、色々と条件が揃った会社を探して就職活動するよりも、起業するほうが簡単で早いのではないかと思えて、次の仕事を模索し始めることにしました。
当時は、ウィンドウズ95が発売された頃で、トレンドに敏感な人が、やっとパソコンを使い始めた頃でしたが、順調に活用している人は、周囲にほとんどいませんでした。そこで、コンピューター初心者用のソフトウェア製作会社を起業したのです。パソコンが得意ではなかった私は、企画を担当しました。完成したソフトは、世のニーズに合い、しばらくはこれでやっていけると思いました。しかし、さらにこのソフトをバージョンアップし、中級編・上級編を製作し発展させることを考えると、私には、その適性はないと感じました。移り変わりの速いこの業界は、私には向いていないと判断したのです。そこで、次の事業展開を考え始め、自分自身で「コレだ!」と思えるものを見つけようと決めたのです。
私は、20代後半から30代にかけて、お気に入りのジュエリーをひとつひとつ揃えていき、そのためには、「大人の女性として、安心して心地よく愛用できるジュエリーショップがあれば良いな」という憧れがありました。デパートの1Fには多くのショップがありますが、立ち接客で落ち着けませんし、上階の宝飾サロンでは、逆に落ち着きすぎています。町の宝飾店は、老舗でモノは良く、安心ですが、私のイメージする心地よい店とは違っていました。ビッグブランドのティファニーやカルティエは、2〜3回は頑張って買えるかもしれませんが、頻繁に利用するのは無理です。いろいろ探してみましたが、私が愛用したいと思うショップは、大阪では見つからなかったのです。これは、チャンスかもしれないと思いました。無いのなら、作ればいいのです。事業は、資本が十分に用意できて、ニーズがあり、方法を間違わなければ、高い確率で成功します。しかし、私は、十分な資本がない状態でのスタートです。知恵を出して、どこまで作っていけるかということにトライしたいと思いました。その結果が、オフィスビル8Fにある7坪の事務所で、ダイヤモンド1粒から始めた、セミオーダーシステムのジュエリーサロンでした。
C:どのような状況も前向きに捉えられて、着実にステップアップされてこられた印象ですが、宝飾業界は、まったく初めてだったとのことですね。
私は、自分が経験したことが無い分野でも、大丈夫なようです。自分で出来ないなら、誰か、それを得意とする人とパートナーを組めばよいことです。また、分からないのなら、学べば良いと思っています。経験が無いという理由だけであきらめるのは、もったいない、0からでも始められることはあります。
C:そうは申しましても、オフィスビル8Fでのスタートはご苦労も多かったのではないですか。
最初は、ブライダル雑誌に掲載しても、来店してくださる方は一人もいらっしゃいませんでした。オフィスビルの8Fでは、ダメで当たり前だと、周囲には大反対されました。しかし、私は諦めずに、どうすれば、お客様がオフィスビルの8Fにでも来て下さるのかを考え、工夫しました。そうすると、少しずつお客様が来てくださるようになり、1年を過ぎた頃、心斎橋にSHOPを出せるようになりました。
C:当時、仕事の都合上、雑誌をよく見ていた私も、カフェリングの紙面は一味違っていて、実際にSHOPに行って見てみたいと思いました。何が違うのか説明は難しいのですが、とにかく、目を引いたという印象が残っています。相当な工夫がなされた結果だったのですね。特許の両面リングは、その頃に申請されたのですか。
心斎橋への出店についても、周囲にはチャレンジャーだなと言われました。確かに、激戦区であり、価格競争が非常に激しい場所でしたが、私は、そういった競争で勝つことより、もっと違った価値をお客様に提供したいと考えていました。そんな中で、両面リングの特許を申請したのです。難しいと聞いていたのに、あっさり特許取得でき、弁理士さんに「特許の目的は?」と尋ねると、「日本経済の発展に役立つこと」だと教えていただきました。額に入れて飾っておいても、特許は生きないですよね。ですから、お客様や宝飾業界の方々に喜んでもらえるように、この特許を生かす方法を考えました。その結果、ブランドを作って、日本全国にリングを広めようと決めたのです。卸の仕組も何も分からない状態でのスタートでしたが、まずは日本で一番大きな展示会に出展しました。この展示会はその2年前に、ジュエリーサロンをオープンさせるに当たって、仕入先を探すために、何も分からないまま飛び込んだ展示会でした。2年後に、自分が出展する側になろうとは、夢にも思いませんでした。
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C:それが、現在は取扱店が78店舗なのですね。最初から、プラチナに絞ってショップをされたのですか。
最初は、ゴールドも扱っていました。プラチナ専門としたのは、顧客の期待を超えるものを提供したいと考えた銀座本店からです。お客様に、銀座のカフェリングに来て良かったと感じていただけないと、銀座にショップを出す意味がないと思いました。ひとつのヒントとなったのが、「水と生きるサントリー」というキャッチフレーズです。このキャッチフレーズから、サントリーという会社のこだわりを、伺い知ることができます。それなら、私は、プラチナと生きようと思いました。もっと言うと、プラチナと遊ぼうという感覚でしょうか。日本のジュエリーショップの中でも、プラチナの説明をしっかりできる店員は、そうたくさんはいないと思います。プラチナの価値や魅力を理解していただける場所であることが、カフェリング銀座本店の役割だと考えています。
C:多くの課題を乗り越えて来られたわけですが、ブログに登場されていますスタッフの方々をはじめ、カフェリングにはステキな方がたくさんいらっしゃるように思います。女性が多い職場を円滑にするための工夫など、何かあれば教えてください。
スタッフは、みんな働き者です!難しいかなと思うことでも、次々とアイデアを出して、実現してくれます。いつも忙しくしていると、余計な噂話をしている暇もありませんよね。FAXで全店送信できる内容の話をしましょう、とは言っています。まず、企業内テーマが「コミュニケーション能力」を高めていくことなので、良好な人間関係は基本となっています。
C:好循環を生む環境が整っているのですね。そのような中で、銀座本店を始め、本日お邪魔しています心斎橋店他、直営店が5店舗。そして現在出店計画中のショップもあると伺っています。今後も、出店を続けていかれるのでしょうか。アジア進出も視野に入れておられるカフェリングの今後について、お聞かせください。
そんなに、たくさんの店は見られないですが、首都圏については、もう少し直営店を考えています。アジアと言っても、まずは日本において、もっと知名度を向上させたいと思っています。目標はティファニーやブルガリというには、歴史や文化など色々なものが必要だと思いますので、私の代で、現在イメージできるのは、アジアまでです。アジアでの認知度や愛され度では、「カフェリングが一番だよね」と言われるようになりたいです。
C:女性起業家としては、いかがですか。
カフェリングは、自営業の延長のような会社です。女性起業家は、起業時に大きな資本投下の必要がないソフトウェアやサービス業の分野で起業される例が多いようですが、やり方次第で、女性一人でもブランドを作っていけるのだというモデルになりたいという目標もあります。そういう意味でのモチベーターになれればいいなとも思っています。
C:プライベートについて、お伺いしたいのですが、お休みはありますか。
休みは、しっかりあります。土日は休みです。休み過ぎ…?(笑)
C:休日は、どのように過ごされていますか。
のんびり、ゆっくりしています。土曜の朝は、娘が先に起きて、朝ごはんを作ってくれたりします。他には、散歩したり、美術館に行ったり。日曜日の夕方は、食事の支度をしてちびまるこちゃんとサザエさんを、娘と一緒に観ていますよ。
C:休日には、お母様なのですね。最近、はまっているものがありましたら教えてください。
これから、はまってみたいと思っているのは、落語です。今まで、特別興味があったわけではないのですが、一度聴いてみたら、面白かったので。あと、最近お友達とフラダンスを始めました。他には、時間があったら、旅行を兼ねて美術館巡りをしたいです。昔の美術館は、立派な絵画を鑑賞しに行くものというイメージでしたが、最近は空間そのものを楽しめるようになっているので、とても心地いいです。
C:感性を磨くための時間を、大切にされているのですね。どのような夢をお持ちですか。
ずっと以前から思っていたことなのですが、バランスの良い人生を送りたいと思います。仕事もプライベートも、ちゃんとバランスが取れているというのが理想です。例えば、仕事はすごく成功したけれど、身体を壊したとか、家庭を犠牲にしたとかいうことのないように、バランス良く生きたいです。
C:恋も仕事も命がけ、そして、バランス…、耳が痛いです。本当に重要なことだと思います。 最後に、結婚を考えている女性に向けて、カフェリングの紹介をお願いします。
カフェリングは、リングをモノとしてだけ扱うのではなく、結婚されるお二人のリング選びのシチュエーションなども含めて提供したいのです。例えば、結婚後に夫婦喧嘩をしたとします。その時に結婚指輪を見て、「このリングを買ったとき、頑張って買ってもらったな」とカフェリングでの思い出が仲直りのきっかけになると良いですよね。また、結婚記念日のプレゼント選びに来店下さるお客様も増えてきました。カフェリングで過ごす時間を、心地よく、特別に大切な思い出に仕立てていくお手伝いができたらいいなと思っています。
C:どうも、ありがとうございました
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cocopafe 編集後記 。。。
多くのブライダルリングが掲載されている雑誌の中でも、他のSHOPとは違う何かを感じたCafe Ring。当初は、オーナー社長が女性だとは思いもよりませんでした。ジュエリー業界で働く女性は多くても、経営サイドは男性という既成概念のようなものがあったのかもしれません。俣野さんは、それを見事に打ち破っていながら、肩肘張らず、まったくの自然体です。しなやかで美しく、そして建設的な生き方・・・本当にステキな女性経営者で、公私共にお手本としたい!この取材記事では、お伝えしきれなかった俣野さんの魅力を、是非、今春出版された「プラチナ・モチベーション」で確かめてください!同時発売された、ビクターとのコラボCD第3弾「プラチナ・モチベーション」を聞きながら…。日頃、読書に馴染みがない方でも、とても読みやすい上に、ステキに生きるヒントがたくさん詰まっています。
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text by ひびき証券・高松綾
| 俣野さんへのメッセージをお待ちしております。 |
*件名に「ライフナビ:俣野さんへ」とご記入ください。
*内容によっては受理できない場合もございますのでご了承ください。 |
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| Nov.2007 |
俣野 千秋
またのちあき |
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株式会社カフェリング 代表取締役
O型
OL生活の後、29歳でソフトウェアの制作会社を起業。出産を経て、35歳でジュエリー業界に転身。国際宝飾展にてブランドデビューし、現在、『Cafe Ring』銀座本店をはじめ直営店5店舗、取扱店78店舗を展開中。今春、著書『プラチナ・モチベーション』を出版。
http://www.cafe-ring.com |
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